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zoom RSS 私の外の「私」

<<   作成日時 : 2009/10/06 23:18   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 2

 火曜日です。火曜日のモグラーずといえば、整形外科手術の為にばたばたしているのが殆ど。今日も元気に皆が走り回っていました 最近はスケジュール管理が滅茶苦茶しっかりしていて、余裕って言う言葉がどこへいったもんやら?ミスなく事故なしこなしているのが奇跡のような手術場です。
 こんな中で唯一穏かになれるのは、患者さんの手術介助についている時。その患者さんとその手術しか考えなくていいので、余計なことに気を煩わせないで済む時だったりします。

 お昼過ぎに私が応援に入ったのは、膝関節鏡の手術。といっても介助に入ったのではなく、外回り担当の後輩を手伝う役割です。手術準備の色々は、一人でやるには時間がかかったりするもので、大概誰かと一緒にしたりします。本当に人がいない場合には先生と2人で黙々とやるんですけど

 患者さんは、前十字靭帯を再建した若者で、再建手術の為に全身麻酔をかけたことはあるけれど、腰椎麻酔は初めてというだけあって、麻酔導入にはびくびく!!!!! 血圧は上がるし、腰椎に針を刺すときにはびびって腰が引けてしまい、なかなかスリリングでした。何かあるたびにその都度声をかけ、反応を確かめながらの手術準備。

 腰椎麻酔が導入されてからは一安心されたのか、時々先生がする質問にもげんき良く答えてくれていました。

 手術する足を消毒して、清潔リネンで覆い術野を確保していく過程、綿球にたっぷり含ませたイソジン消毒液を患側の足に塗ったくりながら、執刀医は若者に聞きました。

「もうスポーツは復帰してる?」

「いいえ、まだです。」

「以前はどれ位してたの?」

「週一回か二回くらいです。」

 怪我をして、完全に前十字靭帯が切れていたので、検査としての関節鏡をすっ飛ばして再建術をするくらいの重症だった患者さん。その時は、今はもう異動していない別の医師が担当していたので、曖昧な当時の状況を話題にして会話する先生。

「種目はナンだったっけ?サッカーだったっけ?」

 手術当時は担当していなかった患者さんなだけに、うろ覚えなのも仕方ないんです。
 うちの病院はスポーツ整形外科を専門にしている先生がいるので、特に専門がはっきりしていない先生であっても、スポーツ疾患であればどのスポーツ種目でのどんな怪我で、どれくらいやっていたかという事がアセスメント要素になるんです。
 整形外科は右利きか左利きかという事ですら、身体のバランスだったり消耗具合などを知る手がかりとなるんです。人間の身体の痛み具合(?)を知るには、生活習慣や職業、ひいては利き腕や利き足だったりが重要です。左右対称の人ってなかなかいないもんですからね。

 だから、スポーツ疾患の手術のとき、どんなスポーツをどんな具合にしているの?という質問は結構頻回に耳にします。

 サッカーだっけ?と聞かれた患者さんの返事を待たずして、

「あぁ!サッカーじゃなくて、フットサルだったよね!?」

 執刀医が声を上げました。

「そうです!」

 患者さんが答えた後、執刀医は苦笑いをしながら、

「そっか〜。フットサルは危険なんだよね

 とポツリ。
 実は私、フットサルという種目をあまり知らないのです。何が危険?と思っていたら、

「室内でしてるの?それとも外?」

「どちらもですが、怪我をしたときは室内でした。」

「あぁ〜〜〜、室内危険だよ〜〜〜

 フットサルって、室内でやるものなの?
 言葉を挟む間もなく、

「やっぱり危ないですか・・・」

 患者さんも苦笑い。

「うん、あれは危険だと思う。室内だと特にグリップが利きすぎてるからね。足首が固定されちゃうのに力が加わるから、それが全部膝に来ちゃうんだ。」

「確かに、がっちりホールドされてしまいますね。」

「その時加わる力は全部膝に来て、膝に変な負荷がかかって怪我をするんだ。」

 ・・・・ははぁ・・・バスケみたいな?

 という訳で皆様、室内でのフットサルには要注意のようです 摩擦抵抗が大きく、滑らない代わりに足首を固定しすぎてしまい、膝が変な風に曲ってしまう力がくわることがあるということらしいです。
 考えてみれば、バスケも同じ感じですよね。

 こけそうになるのを我慢するより、いっそこけてしまえという感じ?

「膝をやったとき、確かに『ゴキッ』って音がはっきりしました。」

 物凄い負荷がかかってるんです、急なストップとかターンとか。車と同じで、人間の身体も。
 最近、そういえばフットサルでの事故が多い気がします。でもだからといって、フットサルが危険なスポーツという訳ではないんですよ フットサルが普段の生活やサッカー等とは違う力を有するスポーツという事なんです。

 身体を守りながら上達してくださいね!

 因みに、前十字靭帯を切ってしまってもスポーツに復帰は可能ですよ。ただし、時間はそれなりにかかりますのであしからず。
 そのスポーツをする上で、身体にかかる力の特性を、知識として知っているほうがいいと思います。乗馬で言うなら遠心力とか。そのスポーツ特有の怪我を引き起こしやすい場面ってありますからね。
 チームのスポーツドクターは活用してくださいね!

                       

 この患者さん然もそうですが、前十字靭帯を再建するとき私たちの病院では、靭帯固定用に開発された小さなスパイクの付いたプレートとスクリューで固定します。チタン製とはいえ金属なので、一年後には抜釘と称されるいわば「釘抜き」をします。
 ずーっと入れていても平気なものではあるんですが、流石に異物ですからね。何年も入れていれば異物反応が起きたりする事だってあるし、いざ何年もたったものを抜こうとしても大変抜けにくくなっていたりするので、私達の病院では金属製のプレートやスクリューが入った場合、一年か二年で抜きます。場所によっては抜かないものもあるし、抜いちゃいけないものもあるんだけど。
 勿論、骨や靭帯のつき具合を考慮しているので、人によっては体内に残す時間は全然違うんですけどね。

 一年前に再建術をした患者さんが、最近こぞって釘抜きです。

 身体に入っているものを抜くので、当然その金属が出てくるんです。一回使ったものを再利用することは絶対絶対絶対ない(というか、ありえない!!!言語道断!!!!!)ので、抜いたものは破棄することになります。

 しかし、本人さんの身体に入っていたものなので、大概どこの病院でも

「持って帰りますか?」

 と聞かれるはずです。
 私が子供の頃、喉に魚の骨が刺さった時も、出てきた骨を差し出して、医師が「持って帰る?」と聞いて来たのを思い出します。何て事をいうんだ!?と子供心に思っていたけど、実際身体の中にあったものなので、『私のもの』なんだよね。

 記念にという事で大半の患者さんは持って帰られますが、要らないとはっきり言われる方もいます。持って帰るかどうかは自分の判断。どう決めようが全然構いません。
 ただし、持って帰った場合、いらなくなったら病院に帰してくださいね 医療廃棄物として破棄しますので。スクリューなどは、普通に大工道具として使えそうだけど。(私なら使うかも。)

 身体に入っていたものは、医療上こちらで必要な時以外は患者さんにどうするかの確認をします。要らない物をとるといった摘出術の時には、取ったものを持って帰る方はいませんし、胃が悪くて胃を取ったものを持ってかえりたいといわれる患者さんはいませんけど。
 ついでに言えば、胃を取ったからと言ってその胃を持って帰ることは出来ません!!!!! 病理検査に出して詳しく調べ、今後の治療方針を確定する判断材料の一つですので、取った胃は適切な処置をして検査センターに行きますのです!!! 絶対私達に必要なんですっ!!!! だからお渡しできないんです!!!! どうしてもという方は、主治医に写真撮影を依頼しておいてください。
 検査に出す前、取ったものはご家族に見てもらって説明しています。その時ご家族の方がパシャパシャ写真を取られることもありますね。

 外科と整形外科はこういったところも違うもので、整形外科の場合、関節を人工のものに変えたりすることがありますが、その時に切り取った関節は、ある意味『不要なもの』で、そのまま適切な処理をして破棄することになります。

 先日、人工骨頭置換術に外回り担当として介助に付いていた時、患者さんが言いました。

「取った骨、どうするの?」

 腰椎麻酔なので、術中私と時々お話しながら手術を受けていた患者さん。オペが始まってからずーっとそれを聞きたかったんでしょうね、ようやくその話が出来ると言った風に嬉々として聞いてきたんです。

「取った骨は、こちらで適切な処理をさせていただくことに成りますけど?」

 こんな質問をされたのは初めてではないので、いつものように処理の内容を話していたら、

「結局は捨てられるのよね?」

 ・・・・まぁ、そういえば見も蓋もない感じですけど・・・・

「そういう業者さんにお願いするんですけど・・・」

 患者さんは考えた後に突然、

「ねぇ・・・私の親は元気でね、100近くまで生きたのよ。」

 ・・・・はい?

「それを考えたら、私ももう少し生きると思うのよ。」

「もう少しどころか、まだまだ現役ですよ!」

「あはは!まだまだ何でも出来るかしら?」

「そうですよ!」

 ・・・って、何の話題なんだか?

「だとしたら、お墓に入るのはまだまだもう少し先だと思うの。」

「・・・・はぁ・・・」

「でもね・・・」

 患者さんは言いにくそうに、恥ずかしそうに、布団で顔を隠しながら言葉を繋ぎました。


「とっちゃった骨・・・・・できれば一緒にお墓に入れられないかしら?」



 

 

 あぁ!!!!! そういう事ですか!!!!!



「お持ち帰りされます?」

「ええっ!? いいのっ!? 持って帰れるの!?」

「ちょっと瓶は大きく成りますけど、ホルマリンに入れて腐らないように出来ますよ?」

「ホントに? じゃあ、申し訳ないけど頂けるかしら?」

「いいですよ。そのように準備しますね。今はまだ血液が付いて見た目恐いので、少しきれいに洗ってから処理しますね。」

「悪いわね・・・。持って帰るなんていった人は今までいないんじゃないかしら?」

 確かに、今までいませんでしたけど

「持って帰ったら、家族がビックリするかしら?」

「そりゃ、驚かれると思いますよ。」

「気持ち悪いって言うかしら?」

「お持ち帰りになった後にそう言われて必要なくなったら、こちらに返していただければいいですよ。」

「本当?」

「えぇ。入院はもう暫くかかりますし、その間に必要なら持っていて頂ければいいですし、必要なくなれば退院と同時に返してくれればいいですよ。」

「分かったわ

 手術が終わると、ホルマリンに漬けられた自身の大腿骨骨頭を枕元において、嬉しそうに病棟に帰っていった患者さん。

 実は私、患者さんが自分の骨を持って帰ったのを見たのは初めてでした。でもすんなりと、確かに納得がいったんですよね。自分の骨で、自分のものなんですから
 入っていた金属プレートを「要りますか?」って聞くぐらいなら、切除した骨だって必要かもしれないんだし。今までこの手術をする患者さんが、概ね認知症を患っていた方だったというのもあるんですが、確かに確かに、自分の一部であるんですよね。一緒にお墓にいれたいって思っても頷けます。

 よく、

「人工骨頭が入った患者さんが亡くなって灰になったとき、釜から出てきたら金属製の人工骨頭がゴロンとあるわけよね。」

 と話題にしていたけれど、その部分の「自分」も一緒に灰にしたいって思いがあるのも分かりますね。日本人ならではという考え方かもしれませんが、五体というものに対する一つの考え方。

 看護師は、患者さんの身体は大事に考えられていても、患者さんの身体の外へでてしまった「患者さん」に対して冷淡だったなぁと思いました。「意識」を離れた「その人」の部分は、「その人」じゃないなんてことはないもの。胃でも骨でも、「その人」

 患者さんにとって何が大切か、何を大切と考えるかという事は、看護師として把握すべきところの一つです。全人的に看るという事はそういうこと。その人らしさやその人自身を大切に考えるという事は、その人の価値観や考え方、意識を尊重するという事。

 骨まで愛してっていうのと、似てるのかな。

 この患者さんと会って、こんな会話をしてこんな体験をして、人の考え方は自分とは違うという事も良く分かったし、医療者として「身体」に対する意識がちょっとぞんざいになりかけだった自分に気付いた私です。
 
 次からは、「取った骨どうしますか?」って聞かなきゃいけないな。
 変な事聞くなぁって思われるかなぁ。

 この患者さんの骨頭は、結局手術室には返還されていません。きっとまだ手元におかれているんでしょうね。一緒にお墓に入るまで・・・



 でも、この患者さん、ホントにお元気で愛嬌のある、素敵なおば様だったのです。まだまだホントにお墓なんて考えられません!

 会話中、カルテを見ながら、

「あと20年以上大丈夫じゃないですか?お墓まで、もう一人生分ありますよ?」

 と返していた私。
 そのやり取りを聞いていた術野の先生達が、声を出さずに爆笑していたのを私は知っている。


 ホルマリンに入れられた骨頭は、あと何十年もそのままお待ち頂いて・・・
 ご家族に忘れられないように気をつけないとね







 ・・・・・・自分に置き換えて考えたけど、もしこれが「自分」じゃなくて、

     「あの人」の骨だったら・・・・・




      私、こっそり持って帰るかもしれんなぁ・・・・

          


      なんて・・・・
            これじゃ、ストーカー!!!!????

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
靭帯固定用に開発された小さなスパイク付のプレートの商品名を教えてください。
いきなりで申し訳ありません。教えていただけますでしょうか?
質問です。
2010/02/19 11:31
 お返事遅くなりまして申し訳ありません。

 ここでプレートの名前を出すのはどうかと思うんですが、大抵は調べたら出てきますよ?それに、病院ごとで使うものは違うはずです。うちの病院では、スミス&ネフューのものを使っています。すいませんが、多分それくらいしかお話できずです・・・。詳しくはよければメールを頂けると嬉しいです。すいません。
うまうま
2010/02/22 22:20

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